■ヤッタオル!のタオルの話
熨斗(のし)の由来
熨斗(のし)の由来
熨斗袋や熨斗紙には右肩に、小さな折紙らしきものが貼り付けてあったり絵が印刷してあります。これは単なる装飾ではなく目的があり名前を「小熨斗」「折り熨斗」と言います。いくつか種類がありますが、帯状の黄色い物が折り紙の中に大切そうに包んであります。この黄色い物は「伸した鮑(あわび)」の代用品です。
古来より日本では、海に囲まれた島国で海産物は日常的な食品でした。大海は魚介や海藻など与えてくれまる一方、時には波高く荒れ何かも飲み込んでしまうこともある畏敬の念を抱く存在で、その神秘の海底より採れる「鮑」は時に白く美しい天然の「真珠」を抱いていることがあり、特別な神がかり的な力をもつ貝として重宝されました。
このような神秘的な力をもつ「鮑」を贈り物とすることは贈る相手の幸せを祈り「鮑」を添えて贈るいとう想いがこめられる事となります。
水引(みずひき)とは
水引(みずひき)とは熨斗包みに結んである紅白や金銀の紙紐のことです。
起源は飛鳥時代に、遣隋使とともに日本に同行した随の使者の献上品が、紅白に染められた麻ひもで結ばれていたとのことです。おそらく当時の日本人がこれを美しいと感じたことと、紐解くと結んだ痕跡が残ることで「封緘」の役目ともなり、贈答品を穢れなく先方に贈る日本人の心情とマッチしたことで、その後、宮中の貴族社会での進物作法として定着しました。当初は麻紐でしたが、製紙技術が発達してくると紙の紐が使われるようになり、江戸時代には紙の価格が下がると庶民にも広くこの風習が広まり今に至ります。
水引はそのままだとただの紙紐ですが結ぶ事でその役目を果たします。古来より日本では「結び」「結ぶ」行為には魂が宿り、その魂はすべてを良い方向に導く力があるとと言われています。「古事記」で登場する神の名前も「産霊神(むすひのかみ)」という字の神がおられます。「結」の字源は「吉」をさらに「糸」でしっかり結び守る文字です。「吉」には閉じこめるといった意味もあり、結ぶことも元の意味はそこにある力を閉じこめることでした。人生節目の儀礼に対し贈られる熨斗包みの水引結びは装飾だけでなく幸せを願う想いを込められた事となります。同じような行為ですが「縛る」とは全然違うものとなります。